5. p38 MAPキナーゼの標的分子について再考する−より特異性の高い薬物治療へ向けて−
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武田弘資, 一條秀憲
キーワード
p38MAPキナーゼ, MAPKAPK-2, Cdc25, G2/Mチェックポイント
G2/Mチェックポイント
放射線や紫外線などのDNA損傷による細胞周期停止機構の一つ
Chk1やChk2などのキナーゼがCdc25BやCdc25Cをリン酸化によって不活性化することで細胞周期を停止させる
紫外線や高浸透圧などに対してはChk1やChk2に依存しないG2/Mチェックポイント機構も存在する
その機構においてはp38MAPキナーゼが直接Cdc25B/Cをリン酸化することが知られていた
しかしMankeらは、ペプチドライブラリーを用いてp38およびp38によって活性化されるキナーゼであるMAPKAPK-2(MK-2)の標的と成る至適リン酸化モチーフを検討した結果、MK-2がChk1やChk2と似通ったモチーフをリン酸化することを見出し、MK-2がCdc25B/Cをリン酸化によって不活性化する生理的なチェックポイントキナーゼであることを明らかにした
López-Avilésらは、酵母においてもMK-2のオルソログであるSty1-regulated kinase 1(Srk1)がチェックポイントキナーゼとして機能することを報告している
p38は抗炎症剤などの標的分子として注目されているが、今後MK-2をはじめとするいくつかのp38標的キナーゼとp38との関係を見直すことで、より特異性の高い薬物治療が可能となるかもしれない